研究室紹介

食理神経科学研究室とは


食理神経科学研究室は2022年11月より新しくスタートした研究室です。薬理学が薬と生体の関係を調べる学問であるように、食理学は食と生体の関係を明らかにする学問を意味する語として近年用いられつつあります。私たちは神経科学的アプローチにより脳が呈味物質や栄養成分をはじめとする多様な食品因子を感知する仕組みを特定し、それを基に、食欲や食の好みを生み出す神経メカニズムの解明を目指しています。

研究の特徴

私たちの研究では、食行動を制御する神経メカニズムを調べるため、マウスをモデルに研究を行っています。これは、マウスがヒト同様に、鋭敏な味覚を有し、雑食であり、旺盛な食欲・食嗜好を示すためです。ヒトの食行動はマウスよりも複雑ですが、マウスを用いた研究から動物種を超えて共通の基本的な食のメカニズムを明らかにできると考えています。

マウスを用いた研究の大きな利点は、様々な分子ツール(光遺伝学※1やDREADD※2による神経活動操作ツールと蛍光カルシウムセンサーによるイメージングツールなど)を搭載した組換えアデノ随伴ウイルスを遺伝子改変マウスの脳に微量局所導入できる点です。

このマウスを用いて特定の神経の活動を操作または測定しながら、味覚や食の嗜好性を評価する行動試験を実施することで、味、食欲、食物の好みの情報を伝達あるいは制御する神経メカニズムの解明を行っています。

 

※1 光遺伝学

光応答性のイオンチャネルを用いることで、特定の神経の活動を人工的に活性化また抑制する手法。

 

※2 DREADD (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs)

化学遺伝学の手法の1種で人工合成されたデザイナー薬剤にのみ反応する改変型Gタンパク質共役型受容体のこと。神経科学分野では光遺伝学と同様に神経活動を人工的に制御するために用いられる。

研究に興味を持たれた方へ

学部生、大学院生、その他研究室に参加してみたい方は、研究環境や研究テーマの詳細についてお知らせしますので、アクセス・連絡先に記載のメールアドレスよりお気軽にお問い合わせください。